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「明るい夜に、星を探して」を読んで

ネタバレあり 以下にネタバレを含む内容があります。

あの人の目には世界はどのように映っているのだろうか。
そんなことを考えることがある。自分の目には何気ないひととき、意味を持たない瞬間を自分ではない他の人はどのように受け取り、感じ、何を思うのだろうか。
知りたい気もするし、それを知ってしまうと、それ以降の自分の見る世界が淡く、脆く、自分の見る世界があの人に比べて朧げであるという事実を目の当たりにしてしまうので知りたくない、とも思う。

本書「明るい夜に、星を探して」を読んだ時にも、そう思った。
この著者は世界がどう見えているんだろうか。何気ない瞬間を美しい比喩の数々で表現でき、またその細部まで繊細な描写は映像として記憶が残っているのであろうことを思わせる。
私は、記憶を頭の中に映像として残すことが難しい、写真として残すこともほとんどできない。こういう人間をアファンタジアとも呼ぶらしいが、とにかく絵を思い浮かべるのが苦手なのだ。
そういうわけだから、昔から絵を描くのも苦手だった。りんごも思い浮かべられないし、馬も、犬もアンパンマンもドラえもんも絵として思い浮かべることはほぼほぼ不可能と言って良い。
できることといえば、絵描き歌に合わせて、まる、三角、直線という無機質な形を繋ぎ合わせ、遠目にみれば確かにそのキャラクターかもしれないと思わせることぐらい。

本を読みながら、「羨ましい。どんなに楽しいのだろう。」と思った。
本当に1つ1つの描写が綺麗だからだ。かといって自分はそれを読んでイメージできているわけではない。綺麗な単語がこんなに出てきて、それが重なり合わさるのであればそれを言葉にした本人の脳内ではどれだけ美しい情景が広がっているのだろう、と感嘆しているだけである。

加えて本書は美しいだけでない、ひょんなことから北欧旅行に行き、その日々を描いたエッセイなのだが、あるときは口内炎に苦しみ、ある時は人に声をかけられない自分に葛藤し、またある時は全てを酒で洗い流しと、ただただ美しいヨーロッパの日々だけでなく、それ以外の一面をしっかり面白く描かれている。

それに、何よりタイトルが好きだ。「明るい夜に、星を探して」